毎年、この季節になると
大学の学生相談室に勤務していた頃を思い出します。

コロナ禍の前ですから、
入学式からしばらくは、門からキャンパスに続く空間は
サークルや部活動の勧誘のために集まった上級生が熱気ムンムン。

まっすぐに前進できないくらい、

次々に立ちはだかる笑顔、また笑顔。

桜はこれでもか、といわんばかりに咲き誇り、
まさに「この世の春」とはこういう勢いのことを
言うのではないかという光景でした。

そんななか、
そういったポジティブエネルギーに圧倒されて
ひるんでしまったセンシティブな新入生が何人も、
人の少ない時間にそっと来室されました。

「あんなにハキハキしてないと大学生活って送れないのかな」
「つい断れなくてサークルに入ってしまったけど憂うつ」
「地元と違って人が多すぎて目が回りそう」

GWが過ぎるとキャンパスの熱気も収まってくるのですが、
このスタートダッシュに乗り切れなかった学生の来室は続きました。
そして、少し疲れた学生がまたGWが明けてから来室されます。

世の中の大半が新生活にワクワクするなか、
私たちカウンセラーは
大半じゃない方のに思いを馳せていたいと思う季節です。

春の勢いに惑わされないで。
グーンとスタートダッシュを切らなくても

遅れを取ることはありません。

といって、閉じすぎず

自分のペースを守りつつも、心を開き

深呼吸ができるスペースを取って
視野に入る程度の新しい出会いを受け入れる。

そんな感じのスタートでも良いのではないかと思います。